通関には、大別して「輸出通関」と「輸入通関」の二つがあります。
「輸出通関」は、輸出者が国内の貨物(商品)を外国に送り出すために、税関長の輸出許可を受ける一連の手続きを指します。具体的には商品を国内の「保税地域(※1)」
に搬送して税関長に輸出申告を行い、場合によっては「税関検査(※2)」を受け、船積するまでの行為がそれに該当します。
対して「輸入通関」は、輸入者が所属国の税関に輸入申告を行い、輸入許可を受けるまでの一連の手続きを指します。具体的には船卸しして、「保税地域」に運ばれた商品の輸入申告を税関長に行い、
許可を受けて商品を運び出すまての一連の行為がそれに該当します。
通関は上記のように、「輸出通関」と「輸入通関」の二つからなっています。そして放射能輸入規制が行われている国では、相手国の「輸入通関」で問題となるケースが多くあります。
放射能輸入規制が行われている国への輸出では、輸入者である現地企業と連携し、税関攻略のための意思疎通を図ることが重要となってきます。
通関には、主として「輸出通関」と「輸入通関」の二つがあると説明しましたが、「輸出申告」と「輸入申告」の双方で必要となる書類(船積み書類)は、基本的には共通しています。
〇仕入書(インボイス※3)
〇包装明細書(パッキングリスト※4)
〇他法令の許可書・証明書等
〇運賃明細書、保険料明細書(輸入通関時に必要)
「他法令の許可書・証明書等」内の項目として、放射能輸入規制が行われている国では「産地証明書(※5)」と「放射性物質検査証明書(※6)」が求められる場合があります。
尚、相手国で放射能輸入規制が行われている場合、「輸出通関」時に「産地証明書」や「放射性物質検査証明書」を日本の税関に提出する必要はありません。
輸入規制を実施しているのはあくまでも相手国となるため、相手国の「保税地域」に商品を搬送した後の、輸入通関の申告時にそれらの証明書は必要となります。
また、「放射性物質検査証明書」に関しては、日本と中国との間で書式に関する合意が得られていない為、原則として日本国は「放射性物質検査証明」を発行しておらず、
その代わりにWTO加盟国で効力を発揮する国際規格に基づいた報告書を提出する必要があります。詳細に関しては、「中国」の輸出案内ページを参照下さい。
その他にも、輸出申告や輸入申告には使いませんが、「船荷証券(Bill of Lading:B/L)」と呼ばれる書類があります。これは船会社が貨物を受け取ったときに発行され、
下記の効力を持つ輸出時における最も重要な書類となります。
〇貨物受け取り証 ― 船会社が貨物を受け取ったことを証明する
〇運送契約書 ― 船会社との運送契約を示す
〇有価証券 ― この書類により所有権が転移する
〇貨物取引証 ― 相手国の荷揚港で貨物を受け取る時に必要となる
輸出者から輸入者へ「船荷証券」を渡すことは、貨物の所有権を転移させることを意味します。そういった意味からも、「船荷証券」は「有価証券(代表例:株式や小切手)」でもあり、取扱いには注意が必要です。
通関の流れを「輸出通関」と「輸入通関」のそれぞれに分けて説明します。あくまで大まかな流れとなりますが、シュミレーションとしてご利用下さい。
《輸出通関の流れ》
①輸出者が輸入者と契約を結び、輸出計画(商品到着日などを含め)を策定する。
②インボイス、パッキングリスト、「船積み依頼書(※7)」の作成、その他必要となる証明書の取得を輸出者が行い、輸入者と情報共有を行う。
③輸出者が「フォワダー(※8)」に依頼し、フォワダーが輸出計画に基づいて「商品(貨物)」を国内の保税地域に搬入する。
④インボイス、パッキングリスト、船積み依頼書を元に、フォワダーが貨物の数量や状態を確認して「輸出申告書」を作成し、国内税関に輸出申告を行う。
⑤税関から貨物の現物検査を要請されたら、フォワダーが依頼者に伝え、代理人として検査に立ち会う。
⑥輸出許可が下りた後に「船積み手続き」を行い、船会社の指示に従い、フォワダーが船や飛行機に貨物を搬入する。
⑦船積みが完了した後、船会社から「船荷証券(B/L)」が発行される。
⑧輸出者が「船荷証券」を確認し、輸入者に「船荷証券」の譲渡を行う。
《輸入通関の流れ》
①フォワダーが相手国で船卸しを行い、「商品(貨物)」を「保税地域」に移動する。
②フォワダーが「輸入申告書」を作成し、相手国の税関に輸入申告を行う。
③「税関が内容を審査(※9)」し、法的な規制がある場合は「食品検査局」が証明書などの確認を行う。問題なければ輸入者が関税や消費税の納付を行う。
④輸出許可書が交付され、フォワダーが貨物を引き取り、輸出者の元に搬送する。
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